こんにちは。
パーソナルトレーナーの豊田優也です。
今回は「疲労」についての解説となります。
「疲労回復にはビタミンB1!」
「そのために大豆製品や豚肉を食べましょう!」
あらゆる所で触れる機会の多いメッセージですので、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
もちろん全くもって正しい内容なのですが、これだけでは少し物事を単純化し過ぎているかもしれません。
そもそも「疲労」とはなんなのでしょうか。何をもってして「疲労している」と評価し、何をもってして「疲労が回復した」と評価すれば良いのでしょう。
ここを深掘りしなければ、
「そもそも本当に疲労しているのか」
「本当に食事で何かが変わったのか」
は誰にも知ることができません。
疲労とは
まずは疲労の定義から見てみましょう。
疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養への願望を伴う身体の活動能力の減退状態である。
日本疲労学会「抗疲労臨床評価ガイドライン」より
「身体活動能力の減退」が疲労とのことですが、定義からして少し曖昧ですね。
通常の状態と活動能力が「減退」した状態との差を定義しないと、本当に疲労しているのかが分かりにくいです。
これについては、ある程度目安となる指標があるので後述します。
疲労の分類
次に疲労の分類を見てみましょう。疲労には「期間」による分類と、「部位」による分類があります。
部位による分類
期間による分類
疲労を期間で分類すると「急性」「亜急性」「日周性」「慢性」の4つに分類することができます。
- 急性疲労…1つの連続した作業による疲労。小休止で回復する
- 亜急性疲労…小休止を挟んだ連続的な作業による疲労。休憩で回復する。
- 日周性疲労…1日単位での作業による疲労。睡眠によって回復する。
- 慢性疲労…数日から数ヶ月続く疲労。睡眠をとっても回復が追いつかない。
日本人は慢性的に疲れている
上図によると、日本人の実に40%の人々が慢性的に疲労を抱えていることがわかります。
そのため、個々人がここに対しての対策をしっかりと考えることはもちろんですが、そもそも「自分は慢性疲労に分類されるのか?」を理解することも必要となります。
「自分が慢性的に疲労しているのか」を知るための指標の1つに下記のセルフチェックがあります。
疲労を感じている人、または疲労を抱えるクライアントを持つ指導者は、これをチェックしながら栄養改善を進めていくのも良いでしょう。
「疲労」という曖昧な概念を数値化することで、明確な「変化」を測定することができます。
このほかにも、厚生労働省が提示している「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」などもあります。
「疲れた」→「豚肉や大豆を食べましょう!」ではなく、一歩引いて「本当に疲労なの?」「どの程度なの?」を考えられると、より幅広いアプローチが可能になります。
また、指導者がこの様なスケールを用いることで「自分の栄養指導の介入による変化」も確認しやすいかと思いますので、あくまで一例ですがぜひ試してみてください。
もちろん「表情」「言葉」「動作」など、自分なりに観察する指標を定義付けするのも良いかもしれません。
次回は「疲労」の具体的なメカニズムと、それに対しての「栄養戦略」について解説していきます。