タイにあるチェンマイ大学の解剖実習に参加させて頂きました。
以前から写真や動画だけでなく、本物を見て、触れて、感じてみたいなと思っており、ようやく今回それが叶いました。
その中でも今回特に僕が見たかったのは、
「不良姿勢や様々な身体動作による筋や臓器への影響」について。
僕も含め運動指導者の多くは、教科書の文章と写真を通して身体の内部を学びます。
それをもとに頭の中で3Dイメージを構築し、実際のお客様の身体を体表からアプローチしていきます。
- 骨盤前傾位の方には腸腰筋や大腿直筋、大腿筋膜張筋のリリースをして、拮抗筋の大臀筋とハムストリングスをトレーニングしよう
- 股関節内旋位の方には特に内旋作用の強い中・小臀筋前部、大内転筋をリリースして、大臀筋と大腿方形筋をトレーニングしよう
- トレーニング中は横隔膜を下げることで腹腔内圧を高めて体幹を安定させよう
こうした方法は実際に理論として確立されていて、セッションの中でももちろん効果がしっかりと出ます。
それと同時に、
- 大臀筋、大腿二頭筋、大内転筋、半膜様筋、半腱様筋の股関節伸展作用の出力の違いにはどんな要因があるのだろう?
- 吸気時に横隔膜が下がると臓器の位置はどの様に変化するのだろう?
- 腹圧を高めた状態で行う高強度トレーニングは臓器への負担にならないのだろうか?
この様な疑問を常に感じていました。
(もちろんこれは一例で、他にもたくさんあります)
こうした疑問を少しでも解決できればと思ったのが、今回の解剖実習参加の理由です。
この機会を無駄にしないために、とにかく骨・筋肉・神経・血管・臓器をさわれるだけさわりました。
見て、押して、掴んで、引っ張って、剥がして、においを嗅いで、とにかく様々な感覚器官を使って脳に記憶させました。
- やっぱり大内転筋はデカい。ただ、半膜様筋、大腿二頭筋も想像以上に分厚い。ここをしっかりと働かせるのは姿勢改善に必須だな
- 小腸は固定されてないので、大腸に比べてとにかく可動性が大きい。これはロードシスの状態で無理に腹圧を高めさせるのは危険だな。まずはマルアライメントの改善とインナーユニットのバランスを整えるのが先。
- 腸脛靭帯は本当にペラペラな薄さなのに強度が物凄い。少し押しただけでは緩む感じが全くしないので、起始部である大腿筋膜張筋、大臀筋、中臀筋、それに加えて密接してる外側広筋は絶対にアプローチしないといけないな
- 肝臓は教科書で見るよりもはるかに大きくて存在感のある臓器。約500の代謝に関わるのも納得。
挙げれば切りがありませんが、これまでの学びの点と点が繋がる感覚がこれでもかと言うほどあり、身に付けてきたいくつもの知識や技術に確信が持てました。
反対に、世の中に広く受け入れられている(いわゆるバズってる)様なとんでもエクササイズはもちろんですが、指導者の間でも効果があると信じられている様な技術が、解剖学者からすると実際には間違ってると言われたり。
(ここは解剖学者と運動指導者との身体の捉え方の違いもあるのかなと感じましたが)
僕も一運動指導として、本当に貴重な経験になりました。
実習期間お休みをくださったジム会員の皆様にも感謝致します。
学んだ事をたくさん還元させて頂きます。
また、現在運動指導者に向けたマルアライメント改善の本を執筆中なのですが、今回の学びの内容も随所に散りばめていこうと思います。
本当にありがとうございました。