こんにちは。
パーソナルトレーナーの豊田優也です。
昨日9月23日、ゴールドジム曳舟店で行われた桑原さんのセミナーに参加してきたので、内容の復習も兼ねてブログを書こうと思います。
桑原さんはグリコでサプリメントの開発者として活動されている方で、他にもプロスポーツチームへの指導もされているそうです。
セミナータイトルとしては「サプリメントによる体重管理メソッド」というものでしたが、サプリメント開発をされている桑原さんでさえも「飲むだけで痩せる、筋肉が付くといったものは基本的にない。しっかりとボディメイクを行うための目標設定や、正しい代謝環境を整えるための食事ができている事が前提」と冒頭で仰ってました。
大変参考になったのでシェアできればと思います。
Contents
1.目標設定について
まず1番最初に重要になるのが目標設定とのことです。
そして目標設定は、「明確さ・ワクワク感」が大切とのことでした。
まず明確さですが、例えば「筋肉を付けたい」「痩せたい」といった漠然としてものはNGです。
これではゴールが具体的な基準が無いのでゴールが見えず、どこまで行えば良いか分からないためです。
「シッスクパックを作りたい」というのもまだ曖昧な部分が大きいですね。腹筋が薄っすら見えるだけでも良いのか、溝がくっきり見えるくらいまでなのかが分かりません。
良い例としては、「3ヶ月後までに体脂肪率を10%以下にする」「半年後にウエストを10㎝減らして、昔履いてたジーンズを履けるようにする」といった所でしょうか。
これであれば、具体的な数値が分かるため進捗を確認できます。
次にワクワク感についてですが、ワクワクする様な目標を持って行動する事により、「なんだか凄くツイてる気がする」「今なら何でもうまく出来そうな気がする」といった高いモチベーション状態へと導く事ができます。
これを「メンタルヴィゴラス状態」と呼び、この状態を多く作れると、目標の達成率は非常に高くなります。
スポーツなどではゾーンとも言われ、高い集中力を保てている状態です。
この状態を作るためには、日々ポジティブなワードを発する事を心掛けるのが良く、多くのアスリートも実践しているそうです。
私たちが日々触れているメディアなどの情報は、国際情勢や犯罪事件、災害情報などネガティブなものが多いです。
そのためより一層ポジティブな言葉を発する事が重要なのだそうです。
メンタルが大きく作用するアスリートを指導されてる方のお言葉はとても説得力がありました。
2.代謝環境を良くする
代謝とは、摂取した三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)が身体の中で化学反応を起こしながら、最終的にエネルギーであるATPを作るまでの事を指します。
ATPとはアデノシン三リン酸と言い、身体を動かす直接的なエネルギーです。
筋肉を動かすにももちろん使われますし、脳や心臓、肝臓など臓器のを働かせたり、代謝を促進するための酵素を作る事にも使われます。
このATPは体内に数分間しか留めておくことができず、そのため常に作り続ける必要があります。
これが代謝なのです。
ATPを作る方ができなること、つまり代謝がストップしたら人は死に至ります。
また、この代謝が低下すれば老化、常に高い状態を保てていればそれは若さとも言えます。
ではこの代謝を高めるためにはどうすれば良いのか?
桑原さんは、代謝を上げるために簡単に実践できる方法として3つをご紹介されてました。
これは筋肉を付けるといった長期的なものではなく、今すぐに実践できるものです。
前提として代謝は朝が一番低く、徐々に上昇して昼過ぎにピークを迎え、そこから入眠までに低下していきます。
ピークを更に上げるよりも、朝の低下した代謝を上げるのが最も効率的なため、その朝の代謝を上げる方法とのことでした。
代謝を高める方法1:グルタミンの摂取
グルタミンは血中の遊離アミノ酸として最も量が多く、人体でも作る事ができる非必須アミノ酸です。
しかし、血中に大量にあるという事は大量に必要になるという事でもあります。
実際にグルタミンの摂取が足りないと、これをエネルギー源としている胃と腸の働きが低下し、これが代謝の低下につながります。
その他の臓器はブドウ糖がエネルギー源ですが、胃と腸はグルタミンをエネルギー源として働きます。
これは、栄養の入り口である胃と腸でブドウ糖が使われてしまうと、他の臓器への供給が間に合わなくなるからこの様な仕組みなっているのではないか?との事でした。
摂取方法としては、起床後すぐにグルタミンを5g程度飲むと良いそうです。
代謝を高める方法2:褐色脂肪細胞の活性化
我々の身体に蓄えられている体脂肪には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。
前者はエネルギーを蓄えておく働きがあり、後者には脂肪を燃焼させて熱を生み出す働きがあります。
つまり褐色脂肪細胞は、脂肪を燃やす脂肪なのです。
この褐色脂肪細胞は肩甲骨周辺に多く存在しますが、年齢と共にその働きは減少していきます。
しかし肩甲骨を大きく動かす事によって、多少なりともこの褐色脂肪細胞を活性化させることができるそうです。
バンザイ運動などで肩甲骨を内外転、屈曲伸展、挙上下制と様々な方向に動かすと良いです。
代謝を高める方法3:食事のバランスを整える
これが一番必要な方が多いのではないでしょうか?
桑原さん曰く、それぞれの栄養素が最大の役割を発揮し、一番代謝がうまく回る理想的なバランスがたんぱく質15%、脂質25%、炭水化物60%だそうです。
ここを基準に、個人に合わせてたんぱく質を増やして脂質、炭水化物を少し減らしたりなどするのが良いとのことです。
炭水化物を10%以下にし、脂質とたんぱく質を増やして行うケトジェニックダイエットは、実践するのは良いが、本来の代謝活動を損なってしまうものという理解は必要だと仰ってました。
まず最も簡単にできる意識掛けとして、
朝食:ボリュームを多くして+たんぱく質
昼食:脂質を抑える意識+たんぱく質摂取
夕食:炭水化物を抑える意識
というのがすぐできる方法との事です。
確かにこれなら栄養素の計算などしなくても、一般の方も取り入れられる内容ですね。
たんぱく質は貯蔵できない栄養素なので毎食摂取する必要があるのですが、平均して朝食で20g、昼食で10gほど足りてないというデータがあるそうです(反対に夕食では過剰になる事が多い)。
3.筋肉を付けるには
日々の生活の中で、前述した代謝を高める作業を行うことも大事ですが、やはり長期的に見るとトレーニングによって筋肉を増やしていくことも非常に大事です。
特に筋肉は高齢者でもトレーニングによって発達することが分かっているため、年齢は言い訳になりません。
では、効率良く筋肉を発達させるためにはどのような方法があるのでしょうか?
速筋繊維を刺激する
まず、筋肉を肥大させるには速筋繊維への刺激が必要不可欠です。
筋肉には速筋繊維と遅筋繊維という2種類があり(厳密にいうと中間のピンク筋と呼ばれるものがあったり、速筋の中にも分類がありますが)、主に肥大効果が高いのが速筋繊維だからです。
速筋繊維は発揮する力が強くて持続時間が短く、遅筋繊維は発揮できる力は弱いが持続時間が長いという特徴があります。
そのため、速筋繊維に刺激を与えるためにはある程度高強度の刺激が必要なのですが、これは基本的に日常生活では与えられません。
トレーニングによって、10回がギリギリできる強度での刺激を与える必要があります。
これは10回がすんなりできてしまうのではだめで、「7~8回辺りでしんどくなり、そこから何とか頑張ってやっと1~2回ができる」という強度です。
これによって最後の1~2回でようやく速筋繊維が肥大するのに必要な刺激が入るそうです。
身体がなかなか変わらないという人は、トレーニング強度の見直しが必要かもしれません。
血中アミノ酸濃度が高い状態をキープする
アミノ酸はたんぱく質が分解された最小単位の事ですが、これは身体を構成する材料となります。
筋肉はもちろん、髪の毛や肌、爪、臓器、細胞など全ての構成要素となるので、常に供給できるように血中に含まれています。
この血液中のアミノ酸濃度が高い状況においては、筋肉の合成が高まりやすいです。
そのため、なるべくこの濃度は低下させない様に高い状態をキープさせておきたいのですが、血中アミノ酸濃度はそれが低下したことを知らせるサインがありません。
(血中のブドウ糖の濃度を示す血糖値の場合は、低下により眠気や空腹、だるさといったサインが出るので、糖が必要なタイミングが分かります。)
そのため、常に継続的に摂取する必要があるのです。
具体的には毎回の食事でたんぱく質を20~40g摂取する事、トレーニング前中後にプロテイン及びアミノ酸を摂取することが大事になります。
特にトレーニング中はただでさえ筋肉が分解に働きやすいのですが、その状態で血中アミノ酸濃度が低下することにより、下がった濃度を筋肉を分解してアミノ酸を取り出すことによって補おうとします。
そのためトレーニング中の血中アミノ酸濃度は特に高い状態をキープする必要があります。
プロテインは摂取してから約1時間で血中アミノ酸濃度を高めてくれるため、トレーニングの1時間前に摂取すると良いです。
また、必須アミノ酸であるEAAやBCAAは摂取後数十分でアミノ酸濃度を高めるため、トレーニング直前、トレーニング中、トレーニング直後に摂取する事で常にアミノ酸濃度を高くしておくことができます。
特にBCAAは筋肉で代謝されるほか、直接的なエネルギー源にもなるため、筋分解抑制と疲労回復にも効果的です。
また、トレーニング中のドリンクにはCCD(クラスターデキストリンという糖質の一種)を加える事で更にその効果を高めておくことができるそうです。
ゴールデンタイムを意識する
トレーニング直後は筋肉の合成が高まるゴールデンタイムというのはよく知られています。
トレーニング中は筋肉は分解優位に働くのですが、トレーニング終了直後からは一気に合成優位に傾きます。
しかしいくら合成に傾くといっても、その材料が無ければ合成はできません。そのためこのタイミングで血中アミノ酸濃度が高い事が非常に重要なのです。
前述の通りドリンクによってトレーニング中や終了直前にもアミノ酸を摂取しておくことにより、トレーニング直後にもアミノ酸濃度が高まる準備をしておきます。
加えて、終了直後にプロテインを摂取することで、筋肉の合成が上昇する曲線に合わせて血中アミノ酸濃度を高めることができ、効率的な筋肥大に繋げることができます。
筋肥大に関わるホルモンの分泌を高める
DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)
これは男性ホルモンであり、筋肥大に大きな影響を与えるテストステロンの材料になります。DHEAはコレステロールから作られるため、コレステロールを制限し過ぎるのは良くありません。
IGF-1(インスリン様成長因子)
これも筋肉の合成に欠かせない物質の一つです。IGF-1は成長ホルモンによって分泌が促されるため、成長ホルモンの分泌を高めることが大事です。
成長ホルモンはトレーニング、睡眠、バランスの取れた食事などで分泌が高まります。
4.脂肪燃焼
最後に脂肪燃焼についてです。
その運動を行っている際に、最も直接的に脂肪を燃やせるのは有酸素運動です。
有酸素運動
ジムのランニングマシンを使う場合、速度は5.5~6.5㎞、傾斜は20~30%で20~30分程度行うのが良いとの事。
有酸素運動はメリット、デメリットがあるので考慮して行うべきだそうです。
メリット
- 直接的に体脂肪を燃やせる
- 分割して行える
デメリット
- 疲労が溜まる(活性酸素の蓄積)
- 脂肪燃焼効果は運動を行っている瞬間のみ(筋トレの場合は行ってからも数日持続)
ジムで筋トレと併せて行う場合は筋トレ→有酸素運動の順番が良いそうです。
サプリメントについて
「これを飲めば確実に痩せる」というものは無いが、食事管理やトレーニングを行った上で、プラスアルファで摂取することで効果が期待できる栄養素をご紹介されてました。
それがカフェイン、カルニチン、ガルシニアです。
体脂肪が減る過程は、「分解」「運搬」「燃焼」という3つのプロセスに分けられます。
カフェインは摂取する事で交感神経を刺激してアドレナリンの放出を促し、それによってリパーゼの働きが活性化し、体脂肪の「分解」を促進します。
カルニチンは分解された脂肪(遊離脂肪酸)が燃焼工場であるミトコンドリアへ入る際に必要となります。
最後にガルシニアですが、ガルシニアに含まれるHCA(ヒドロキシクエン酸)は、ミトコンドリアでの脂肪燃焼を促進してくれるのと、脂肪の蓄積を抑制する効果もあります。
空腹睡眠はおすすめ
脂肪の燃焼量としては以外にも睡眠時が一番多いです。
しかし、睡眠時にうまく体脂肪を燃やすためには空腹であることが条件だそうです。
そのために、できれば寝る3時間前には食事を終えておくこと、難しければ2時間前にはカロリーの摂取は避けることがポイントだそうです。
どうしてもお腹が空く場合は、ゼロカロリー商品を摂取するなどでしのぎます。
ただ、空腹時は筋肉の分解が進むため、これを防ぐために就寝直前にグルタミンを5g摂取するのが良いそうです。
終わりに
メモを元にだーっと書いてきたのでまとまりが無いかもしれません。笑
2時間という短い時間でしたが非常に濃い内容のセミナーでした。
目標管理から始まり、前提条件である代謝環境の整え方、それがあった上での筋肥大トレーニングと脂肪燃焼アプローチ、おすすめサプリメントといった流れで体系的に理解できる内容でした。
この内容が540円で聞けるなんて…笑