ビタミンCは微量栄養素の一つで、別名アスコルビン酸(ascorbic acid)とも呼ばれます。

皮膚、粘膜、歯肉などから出血が起こる壊血病という病気がありますが、ビタミンCはこれを防ぐ効果のある栄養素として発見されました。

a (anti) = 抗、
scorbic (scorbutic) = 壊血病の
acid = 酸 (因子)

つまり「壊血病を防ぐ因子」

(『ビタミンC-多様な働きから所要量まで』 近畿大学 農学部 食品栄養学科 重岡成,武田徹,村上恵 より引用)

大航海時代には、数ヶ月という長期間の船旅を行う中で、多くの船員が壊血病によって死に至ったそうです。

これは、当時長期間保存できる食料のほとんどがビタミンCを含まないものばかりで、結果的にビタミンCの摂取量が足りなくなったことが原因だったと分かっています。

後に、レモンやオレンジなどの柑橘類を食べていた船員は壊血病にならなかった事が分かり、20世紀に柑橘類の成分を研究してビタミンCが発見されました。

これによって壊血病への対抗策が生み出されることになったのです。

ビタミンCの役割

ビタミンCを意識的に摂取する事のメリットは非常に多いです。

抗酸化作用による免疫力強化、老化の防止

人の身体には、体外から侵入したウイルスや病原体を撃退する免疫機能が備わっています。

この免疫機能は血液中の白血球が司っています。

免疫細胞とは

『https://www.doctor-naito.com/immunity/immune_cells.html』より引用

白血球は、体内に侵入したウイルスや病原体を攻撃するために、活性酸素を放出します。

この活性酸素はウイルスや病原体を倒す効果があるのですが、それと同時に、身体の構成成分であるタンパク質やDNAを酸化し、錆びさせてしまう働きもあります。

また活性酸素は、糖尿病や非アルコール性脂肪性肝疾患、動脈硬化、白内障など、多くの老化関連疾患を悪化させることが分かっています。

この様に、活性酸素は過剰になると人体にとって有害な物質なため、これを除去することが必要となります。

ビタミンCは、この体内で発生した活性酸素を除去する抗酸化作用を持っており、これが免疫機能の維持に繋がっています。

抗ストレス効果

現代人は職場環境や人間関係、喫煙や飲酒などにより身体にとって大きなストレスを受ける機会が多いかと思います。

他にも過労や睡眠不足、気温の変化など様々な要因によってもストレスは高まります。

人体はストレスを受けると、交感神経が高まり副腎からアドレナリンというホルモンが分泌されます。

このアドレナリンは、脈拍を早めたり血圧や血糖値を上昇させ、エネルギー供給を高めてストレスに対抗しやすい状態を作ります。

このアドレナリンの合成にもビタミンCが必要となるのです。

つまり普段からビタミンCを意識的に摂取する事でストレスにも強くなることができます。

コラーゲン合成を促進

コラーゲンはたんぱく質の一つで、骨、靭帯、皮膚、軟骨、腱、血管などを構成しており、これらの弾力性や強度を保つ役割を持っています。

コラーゲンがある事により、筋肉や腱に強い負荷がかかった際にも、衝撃で骨折してしまうのを防ぐことができたり、血管を正常な状態に保つことができるのです。

ビタミンCはこのコラーゲンを結合させる反応において触媒的な働きをするため、摂取することでコラーゲンの合成によるこれらの働きを促進させることができます。

メラニンの生成を抑制

皮膚のメラニン生成を抑える効果があるため、日焼けによる色素沈着の予防にも有効です。

ビタミンC欠乏のリスクが高い人(積極的に摂取すべき人)

喫煙者、および受動喫煙者

喫煙者は酸化ストレスが増加することから、非喫煙者に比べて体内のビタミンC濃度が低くなるという事が分かっています。

そのため米国医学研究所(IOM)では、喫煙者は非喫煙者よりも、1日当たり35㎎多くビタミンCを摂取する必要があるとされています。

ストレス環境に置かれている人

職場や人間関係での精神的ストレス、激しい運動、喫煙などの強いストレスにさらされる事によって、体内での活性酸素の生成が増加します。

これによって通常よりも活性酸素の除去の必要性が高まり、結果的にビタミンCが多く消費されます。

濃縮乳または煮沸乳を与えられている乳児

牛乳に含まれるビタミンCは極めて少ない点、ビタミンCは熱によって破壊される点から、これらを与えられている乳児はビタミンC欠乏症を発症するおそれがあるとされています。

食事に偏りがある人

野菜や果物には多くのビタミンCが含まれていますが、これらを摂取する習慣のない人や、好き嫌いの多い人などは摂取量が足りなくなる場合が多いです。

 

ビタミンCが欠乏すると

  • 疲労
  • 免疫低下
  • 老化及び酸化
  • 抑うつ
  • 結合組織の異常(歯肉炎,点状出血,発疹,内出血,創傷治癒障害)
  • 乳児および小児では骨成長が障害される可能性

など

摂取量

厚生労働省による基準値は100㎎/日となっています。

最低限この数値は下回らない様にしましょう。

また、前述した喫煙や飲酒、職場環境や肉体的疲労などの強いストレス環境下に置かれている方は更に多めの摂取が推奨されます。

ビタミンⅭは水溶性で、吸収しきれなかった分は尿として排出されますので、積極的に摂取するようにすると良いです。

健康な成人であれば1日2000㎎までは健康的な問題は無いとされています。

ビタミンCが多く含まれる食品

※食品100g当たりのビタミンC含有量 (単位:mg)

赤ピーマン 170 ケール 81 モロヘイヤ 65 ハム(ロース) 50 せん茶の茶葉 260
黄ピーマン 150 からし菜漬け 80 いちご 62 ベーコン(ロース) 50 焼きのり 210
ゆず(果皮) 150 ピーマン 76 ししとうがらし 57 かぶの葉のぬか漬 49 味付けのり 200
アセロラジュース 120 にがうり(=ゴーヤ) 76 きょうな(水菜/生) 55 きんかん 49 抹茶(粉) 60
パセリ 120 めんたいこ 76 ブロッコリー 54 ハム(ボンレス) 49 あおのり(乾) 40
芽きゃべつ 110 70 カリフラワー 53 かぶ(葉) 47 フライドポテト 40
レモン(全果) 100 キウイフルーツ 69 レモン(果汁) 50 かいわれだいこん 47 わかめ(素干し) 27
なすのからし漬 87 レッドキャベツ 68 パパイヤ 50 つまみ菜(生) 47 とろろこんぶ 19

『https://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/vitamin_c.html』より引用

ビタミンⅭが多く含まれる食べ物としてローズヒップがありますが、

ローズヒップには100g当たり426㎎ものビタミンⅭが含まれており、ビタミンⅭ爆弾とも呼ばれています。

ビタミンCを摂取する際のポイント

  • 空腹時(食間)ではなく、食後の摂取によって吸収が緩やかに継続して行われる
  • 特に午前中は午後と比べてビタミンCの排出量が多いとされているので、朝食後は必須
  • 一度に摂取するのではなく食後毎に摂取する事で、血中のビタミンC濃度が高い時間を維時できる

サプリメントから摂取するのも◯

野菜や果物などが苦手な人、もしくは食べる習慣のない人はサプリメントから摂取するのも良いでしょう。

その際は天然のものがおすすめです。