体脂肪を落とすためには消費カロリーが摂取カロリーを上回ることが必須条件です。
つまり、消費カロリーをなるべく増やして摂取カロリーをコントロールする必要があります。
ですが、早く結果を出したいからと言って極端に摂取カロリーを落としすぎてしまうのは良くありません。
毎食、鶏むね肉とサラダだけ。糖質と油は一切摂らない様に。
信じられないですがこの様な食事の指導を行っている方、実践している方もいると聞きます。
糖質も油も制限して食事を基礎代謝以下のカロリーに制限するのは、お勧めできません。
今回はその理由について具体的に説明していきます。
Contents
基礎代謝とは
消費カロリーを決める要因として、下記の3つの代謝があります。
基礎代謝:何もしていなくても、呼吸したり体温を調整したり、生命活動を維持するために行われる代謝
生活活動代謝:歩いたり、走ったり、身体を動かす時に行われる代謝
食事誘発性熱熱産生(DIT):食べたものを消化・吸収する際に行われる代謝。食後に一時的に体温が上がるのはこの代謝によるもの。
基礎代謝は全体の消費カロリーの60~70%を占めていて、一番消費カロリーに与える影響の高い代謝です。
基礎代謝の求め方
基礎代謝は下記の基準値を参考に求めます。
〇基礎代謝基準値
厚生労働省HP『「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書』より
例えば年齢が30歳、体重50㎏女性の場合、
21.7(基礎代謝基準値)×50(体重)=1,085㎉となります。
この方の場合、何もしない場合でも1日で最低1,085㎉は摂取するべきとなります。
基礎代謝以下のカロリー制限が痩せにくい理由
甲状腺機能の低下による代謝の低下
基礎代謝以下のカロリー制限が続くと代謝を司る甲状腺の機能が低下し、それにより代謝が低下します。その機序をみていきましょう。
甲状腺は喉仏の少し下にあり、体内の代謝をコントロールする器官です。
この甲状腺は、甲状腺ホルモンと呼ばれるホルモンを分泌することで、代謝を亢進したり低下させたりしています。
甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンにはサイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)、リバースT3(rT3)の3つがあります。
- サイロキシン(T4) … 甲状腺のみで合成
- トリヨードサイロニン(T3) … 甲状腺、肝臓、腎臓、筋肉、中枢神経系で脱ヨード酵素によりT4から生成される。T4の約10倍の生理活性。
- リバースT3(rT3) … T3とはヨードが外れる位置が違うだけだが、生理活性は無い。
甲状腺ホルモンの役割
- 基礎代謝の上昇
- 成長・成熟への作用
- たんぱく質、糖、脂質代謝
- 中性脂肪の合成低下、分解の促進 など
この様に、ダイエットを行う上では欠かせない機能を持っているのが甲状腺ホルモンです。
そのため、甲状腺ホルモンの分泌の低下はなるべく防がなければなりません。
血中を循環する甲状腺ホルモンのほとんどはT4ですが、甲状腺ホルモンの中で活性作用が一番強いのはT3です。T3はT4の約10倍の作用を持っています。
T3は主にT4からの変換で作られるのですが、このT4→T3へ変化する際に脱ヨード化という反応が起こります。
この脱ヨード化は、極端なカロリー制限をすることによって働きが低下してしまいます。
つまり、カロリーを制限し過ぎることによって、代謝を高めるT3が作られにくくなり代謝が低下してしまうのです。
また甲状腺ホルモンは、甲状腺刺激ホルモン(TSH:Thyroid stimulating
hormone)というホルモンによって分泌が高まります。
極端なカロリー制限は、このTSHの働きも弱めてしまいます。
性ホルモンの合成低下
カロリーを制限し過ぎる傾向の方は、脂質の摂取も少なくなりがちで、その影響により性ホルモンの合成も低下してしまいます。
たんぱく質、炭水化物は1gあたり4㎉ですが、脂質は1gあたり9㎉のエネルギーを持つため、なるべく脂質を減らそうというのは当然の流れです。
しかし、脂質の減らし過ぎは体内のコレステロール値の低下を招き、コレステロールを材料とする性ホルモンの合成を低下させます。
男性ホルモンのテストステロン、女性ホルモンのエストロゲンは、筋量や骨密度の増加、肌や髪を綺麗に保つ、精神状態を安定させるなどダイエットにおいてもプラス方向に様々な役割を果たします。
性ホルモンの材料であるコレステロールの合成は、ヒドロキシメチルグルタリル-CoA レダクターゼ(HMG-CoAレダクターゼ)という酵素の活性で調節されますが、この酵素の活性は極端なカロリー制限などの飢餓時に減少してしまいます。
筋量の減少
摂取カロリーを基礎代謝以下に減らしてしまうことは、エネルギー不足による筋分解を促進させてしまいます。
ケトン体を除けば、脳の唯一のエネルギー源は糖分です。脳の働きだけで全体の消費カロリーの20%にもなり、成人で約120gの糖質量に達します。
極端なカロリー制限をすると相対的に糖分の摂取量も減ります。
脳を動かすための糖分が足りなくなると、人はアミノ酸や脂質を糖に変換する糖新生という反応を使って不足分を補います。
この糖新生によって、筋肉を分解してアミノ酸を取り出してしまうのです。
筋肉量の低下は基礎代謝の低下に直結しますので、結果的に消費カロリーが減少して痩せにくい状態に陥ってしまうのです。
ストレスレベルの増加による影響
また、極端なカロリー制限はストレスレベルも増加させます。
ストレスが高まると、副腎皮質からコルチゾールというホルモンの分泌が高まります。
このコルチゾールは血糖値を正常に維持するなど、恒常性を保つために必要なホルモンなのですが、過剰な分泌が続くことで多くの悪影響を招きます。
- 記憶を司る海馬の神経細胞が減少する
- 炎症のコントロール低下
- うつなど精神疾患との関連
- 成長ホルモンの働きを阻害
- 代謝の低下 など
まとめ
- 摂取カロリーを基礎代謝以下にすると痩せにくい
- 理由①:代謝を司る甲状腺ホルモンの分泌低下、T4→T3(T3の方が作用強い!)への転換減少→基礎代謝の低下
- 理由②:コレステロール値の減少による性ホルモンの合成低下
- 理由③:筋量の減少→基礎代謝の低下
- 理由④:ストレスによるコルチゾールの過剰分泌→代謝の低下
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