皆様は糖質と聞くとどんなイメージを持ちますか?
「糖質は摂ってはいけないもの」
「糖質を摂ると太ってしまう」
糖質制限が流行っている今日では、糖質に対してこの様なイメージを持たれている方が非常に多い様に感じます。
私もパーソナルトレーナーとして活動する中で、お客様や知人の方から上記の様な事を言われることが多いです。
しかし、糖質は摂取してOKです。
糖質は体内で活動のためのエネルギーを作り出す大事な栄養素となります。
脂質、たんぱく質と共に、三大栄養素として体内で重要な役割を果たしている栄養素の一つをカットするのは良くありません(糖質と食物繊維の2つを総称して炭水化物と呼びます)。
ですが当然ながら摂りすぎはNGですので、摂取量や食べる食材を調整、選択することが必要になってきます。
今回は糖質を安心して摂取していく上で気を付けるべきポイントを解説していければと思います。
Contents
糖質を安心して摂取するためのポイント①:過剰に摂取しない
これは脂質、たんぱく質についても同じことが言えますが、自分の身体が必要としている以上の量を摂取すれば残った分は体脂肪に変わります。
では自分はが必要としている量はどの程度なのでしょうか?
糖質は食物繊維と併せて全体の50%程度であれば全然OK
糖質と食物繊維を併せた炭水化物として、全体のカロリーの50%程度であれば摂取しても心配ありません。
厚生労働省が発表している食事摂取基準によると、1日の炭水化物摂取量は全体の50~65%とされています。
例えば1日の目標カロリーが1,600㎉の女性の場合、50%とすると800㎉は炭水化物から摂取できます。
炭水化物は1gあたり4㎉なので、グラムに直すと200gとなります。
コンビニで売っているおにぎりの炭水化物がおおよそ50g程度となりますので、4つくらいは食べれます。
当然人によって目標カロリーは変わってきます。それぞれの目標カロリーの求め方は下記を参考にしてみてください。
①自分の1日の消費カロリーを求める
消費カロリーの計算方法は下記の記事で詳しく説明していますので、こちらで一度計算をしてみてください。
なぜ痩せない?本気でダイエットしたいあなたがやるべきたった一つのこと
ここで求められた数値が、自分が1日で消費しているであろうおおよそのカロリーです。
つまり、このカロリーを上回る食事をしなければ、体脂肪は増えないという事になります。
②目標カロリーを求める
上記で求めた消費カロリーから、100~300㎉程度を引いた数値を目標カロリーに設定しましょう。
いきなり500㎉以上も減らすのは、ストレスの増加や代謝の低下、それによるリバウンドにも繋がるので注意しましょう。
糖質を安心して摂取するためのポイント②:トレーニングで筋肉量を増やす
筋肉量が多い人ほど筋肉内に糖を蓄えることができるので、体脂肪に変わりにくいです。
まずは糖を摂取した際の体内での行方を確認しいきましょう。
糖質の体内での行方は?
糖質を含む食品を摂取すると、まず胃で消化されて小腸から体内に吸収されます。
吸収された糖はその後血液中に流れ込みますが、これによって血糖値が上がります。
血糖値が上昇したままでいると、糖が体内のたんぱく質と結びついて「糖化」という反応が起こってしまいます。
この糖化反応が起こると、体内でAGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)と呼ばれる身体を老化させる物質を作り出してしまいます。
この様に血糖値が高い状態というのは身体にとって悪影響を与えるため、体内では上がった血糖値を下げる機能が備わっています。
血糖値が上がると膵臓からインスリンというホルモンが分泌されるのですが、このインスリンは、血液中の糖を筋肉、肝臓、体脂肪に送り込む役割を持っています。
このインスリンの働きよって、血糖値は常に一定に保たれています。
インスリンヒエラルキー
インスリンが血液中の糖を体内に送り込むと説明しましたが、これにはインスリンヒエラルキーと呼ばれる順番があります。
1.筋肉
血液中の糖は、インスリンの作用によってまず最初に筋肉に送られます。筋肉中には糖が筋グリコーゲンという形で貯蔵されています。この筋グリコーゲンは、運動などで筋肉を動かすエネルギーとして使われます。人によって差はありますが約300g程度貯蔵されています。
2.肝臓
筋肉内の貯蔵量が一杯になったら次は肝臓に運ばれます。ここには肝グリコーゲンと呼ばれる形で約100g程度が貯蔵されています。肝グリコーゲンが血糖値の調整に使われ、血糖値が下がった場合に血液中に放出されます。
3.体脂肪
筋肉、肝臓に送られ、最終的に残った糖は体脂肪として蓄積されます。
トレーニングで筋肉量を増やして筋グリコーゲンの貯蔵量を増やす
筋肉、肝臓に貯蔵しきれなかった分が体脂肪に変わるのなら、その貯蔵量を増やせれば必然的に体脂肪に回る糖の量を減らすことができます。
しかし、肝臓の許容量はなかなか増やすことができません。そのため、筋肉量を増やすことが重要になってくるのです。
筋肉はトレーニングを行うことで増やすことができます。
有酸素運動などの軽い負荷ではなく、無酸素運動と呼ばれる筋力トレーニングを行うのが非常におススメです。
筋肉量の多い人が太りにくいのはこうした所にも表れているのです。
糖質を安心して摂取するためのポイント③:体脂肪を増やし過ぎない
インスリン感受性と抵抗性
悲しいことに、太っている人ほど糖を摂取した際に体脂肪に変わる量が多いのです。
これは、前述したインスリンヒエラルキーの部分で、体脂肪率が高い人ほどインスリンが筋肉に働きにくくなってしまうからです。
同じ筋肉量の人が2人いた場合、体脂肪率が高い人の方が筋肉に取り込める糖の量が少なく、結果的に体脂肪に回る量が増えてしまうのです。
筋肉にインスリンが働きにくくなっている状態をインスリン抵抗性と呼びます。
反対に、「筋肉にどれだけインスリンが作用してくれるか」を表す指標をインスリン感受性と呼びます。
体脂肪率の増加はインスリン抵抗性を強め、インスリン感受性を低下させてしまいます。
男性で22%、女性で35%以上の体脂肪率の方は「肥満」に分類されるので、注意が必要です。
インスリン抵抗性は体脂肪率を下げることで改善していくことが可能です。
また、筋力トレーニングを行って筋肉を積極的に動かすことでも、GLUT4と呼ばれる糖を筋肉内に取り込む作用を持つホルモンが活性化し、インスリン感受性が高まります。
糖質を安心して摂取するためのポイント④:GI値の低い食品を摂取する
GI値とは、「その食品を摂取した際にどれだけ早く血糖値を上昇させるか」を数値化したものです。
糖の最小単位で、もっとも吸収速度の速いブドウ糖の数値を100として、他の食品がどの程度なのかを知ることができます。
このGI値が高いほど、血糖値を上昇させるスピードが速いという事になります。
血糖値の急上昇を避ける
GI値の高い食品を摂取すると血糖値が急激に上昇します。
前述した通り、血糖値が上昇するとそれを下げるためにインスリンが分泌されます。
この時に血糖値が急激に上昇してしまうと、それを下げるために普段よりも過剰にインスリンが分泌されてしまいます。
過剰に分泌されたインスリンの作用によって、血液中の糖は筋肉、肝臓に取り込まれるのですが、一度に取り込める量には限界がありますので、当然余った糖は体脂肪として蓄積されます。
つまり、同じ糖分摂取量なのにも関わらず、GI値の高い食品を摂取した場合の方が体脂肪が増えてしまうという事です。
また、血糖値が急上昇してインスリンが過剰に分泌されると、その作用によって血糖値が急下降します。これによって血糖値が食事前の値よりも低くなってしまいます。
人は血糖値が低くなった際に空腹を感じるため、食事をしたのにも関わらずまたお腹が空いてしまうという悪循環が生まれます。
GI値の低い食品で血糖値の高下を緩やかに
上記の様な事態を避けるためにも、基本的にはGI値の低い食品を選択するようにしましょう。
GI値の低い食品は血糖値の上昇が緩やかなため、インスリンの分泌量も適正に保つことができます。
血糖値が緩やかに上がれば、下降も緩やかです。そのため食べてすぐの眠気や空腹感も抑えることが可能になります。
食品のGI値一覧
精製度の高い小麦製品、白米などはなるべく避け、茶色い炭水化物(玄米、そば、オートミール、全粒粉)などを選ぶようにしましょう。
まとめ
糖質は摂ってもいい栄養素。ポイント意識することで、安心して摂取することができる!
糖質を安心して摂取するための4つのポイント
- 過剰に摂取しない→目標カロリーの50%程度にする
- トレーニングで筋肉を増やす→体脂肪に回る量を減らすことができる
- 体脂肪率を高くしない→男性22%以上、女性35%以上で肥満に分類。インスリン抵抗性を起こしてしまう。
- GI値の低い食品を心掛ける→茶色い炭水化物で血糖値の急激な上昇を防ぐ!
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