今回はサーカディアンリズム(概日リズム)について。
一般的に体内時計と言われる身体の機能を解説していきます。
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サーカディアンリズム(概日リズム)とは?
サーカディアンリズム(circadian rhythm)は日本語で概日リズムと呼ばれ、約24時間周期で起こる生理現象の事を指します。
(ラテン語のcirca(約、おおむね)と、dies(日)が語源)
地球は24時間という時間をかけて自転し、昼夜のサイクルを作り出していますが、
これによって明るさや温度、湿度など様々な環境変化が及ぼされます。
これに適応し生存するために、生物の体内にもこれと同じようなサイクルが備わっています。
例えば、我々は一般的には朝になって日が昇ると起きて活動し、夜になり日が落ちると眠くなって睡眠を取ります。
朝に日の光を浴びることによって、トリプトファンを元にセロトニンが生成され、夕方になるとこれがメラトニンに変化して眠りを感じるというサイクルが備わっているのです。
このサイクルもサーカディアンリズムによるもので、サーカディアンリズムは人間以外にもほとんどの生物の体内で存在し、体内の1日のリズムを司るために体内時計とも呼ばれます。
ただしサーカディアンリズムは正確には24時間ピッタリではなく、人の場合は平均して24時間15分と言われています。
植物での発見
サーカディアンリズムについての研究論文が初めて発表されたのは、フランスの科学者ジャン゠ジャック・ドルトゥス・ドゥ・メランによるものです(1729年)。
外界からの刺激を遮断したオジギソウが、変わらずに24時間周期のパターンで活動し続けることが発見されました。
ヒトでの発見
ヒトでの発見は、1962年のドイツのユルゲン・アショフによる実験によるものです。
彼は自ら大学内地下の隔離実験室で数日間を過ごし、睡眠の覚醒リズムだけでなく深部体温、尿中ステロンドホルモンなど種々な電解質のリズムを測定しました。
その結果、すべての項目において約24~25時間のリズムを刻んでいたようです。
サーカディアンリズムを司る要因
ヒトのサーカディアンリズムは24時間ピッタリではないため、何らかの方法でズレを修正していく必要があります。
ズレたままでは1日毎にリズムが崩れていき、ズレが大きくなると朝に眠くなって夜に目が覚めるという状況になりかねません。
そうならないように、体内にはサーカディアンリズムを調整する機能が備わっています。
光の明暗が最も強い因子
哺乳類のサーカディアンリズムを調節する因子としては、光による刺激が一番強いようです。
これは光の明暗が、後述する体内時計を担う中枢時計遺伝子に強く影響を及ぼすことが要因と考えられます。
(前述した、日の光を浴びることによるセロトニンの分泌→セロトニンがメラトニンに変化して睡眠を促すというサイクルのことです。)
そのため、毎朝起きたら太陽の光を浴びる、夜になったら照明を暗くするというのが昔から推奨されていますよね。
これによりサーカディアンリズムがリセットされ、ズレをなくすという効果があります。
その他の因子
- 社会的因子(仕事や学校など)
- 食事のリズム
- 運動
- 温度や湿度、騒音など
この中では食事がサーカディアンリズムの調整因子として大きな影響を与えているそうです。
特に朝食にたんぱく質と炭水化物を合わせて摂取するとその効果が高いようです。
(参考:『生体リズム研究の現在ー時計遺伝子の機能と疾患の接点を中心としてー』池田 正明)
体外からの刺激を遮断して生活すると少しずつズレていく
上記のような体外からの刺激を遮断した生活を行うと、少しずつ周期がずれていきます。
24時間より短い周期の生物では日々サイクルが前進していき、
24時間より長い生物では日々サイクルが後退していきます。
人が光の届かない洞窟内で数日間過ごした研究では、体内のサーカディアンリズムは約25時間だったそうです。
これは1日約1時間、サイクルが後退していく計算なので、12日で昼夜逆転のリズムになってしまいます。
サーカディアンリズムと体内環境の関係
日常生活におけるサーカディアンリズムの乱れは、身体に様々な疾患を招くことが分かっています。
睡眠
睡眠とサーカディアンリズムには密接な関係があるため、これが乱れると睡眠障害に繋がるとの報告がされています。
精神神経疾患
うつ病で機能低下があるとされている脳部位で、サーカディアンリズムの喪失が確認されたとの報告があることから、
サーカディアンリズムの乱れが精神神経疾患に繋っている可能性があります。
生活習慣病
勤務時間が決まっている人と比較して、時間が決まっていないランダムなシフト勤務の人は、BMI数値が高く、冠動脈疾患での死亡率が高いとの報告があります。
これは、サーカディアンリズムが乱れることによって引き起こされているのではないかと指摘されています。
(参考:『生体リズム研究の現在ー時計遺伝子の機能と疾患の接点を中心としてー』池田 正明)
調べてみるとこの他にも、サーカディアンリズムの乱れが肥満に関係していることを示している論文が多くありましたので、密接に結び付いてそうです。
この様な疾患を招くサーカディアンリズムの乱れを起こさないためにも、
- 朝は太陽の光を浴びて朝食(たんぱく質、炭水化物)を食べる。
- 夜は遅くまで明るい環境やPC、スマホの操作を避ける
という事を意識するのが良いでしょう。
サーカディアンリズムを司る時計遺伝子
時計遺伝子とは?
サーカディアンリズムを司る遺伝子を時計遺伝子と呼びます。
時計遺伝子には中枢時計遺伝子と末梢時計遺伝子があります。
人のサーカディアンリズムは、主に脳の視床下部の視交叉上核という場所が統率しているのですが、
この視交叉上核にある時計遺伝子は中枢時計遺伝子と呼ばれ、行動や血中ホルモン濃度などのリズムを制御しています。
反対に、肝臓や腎臓などの末梢組織に存在する時計は末梢時計遺伝子と呼ばれ、代謝やイオン濃度の調節など、各組織特有の機能を制御します。
中枢時計遺伝子は光の明暗刺激によって調節され、その情報を元にして末梢時計遺伝子のリズムも調節されます。
主な時計遺伝子の種類
サーカディアンリズムは下記の4つの時計遺伝子の働きによって制御されています。
- BMAL1
- CLOCK
- PER
- CRY
BMAL1、CLOCKは転写の「活性化」に働き、
PER、CRYは転写の「抑制」に働きます。
※転写=細胞を合成するための仮定の一つ
この「活性化」と「抑制」作用のフィードバックグループが1周するのに約24時間かかり、これがサーカディアンリズムを作り出しています。
BMAL1は肥満との関係があるとも言われているのですが、
それはまた別の記事にて紹介したいと思います。
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