こんにちは
今回は、身体の健康状態と仕事の生産性について書いていきたいと思います。
アブセンティーズム
自身の身体の健康状態が仕事に影響を及ぼすのはすぐにイメージができます。
個人目線で見ると、例えば風邪や熱で会社を休んだ場合、その日やるべきだった業務を延期したり、同僚に任せる等しないといけなくなるかと思います。
結果的に周囲に遅れを取ったり、ノルマを達成できなくなったり、悪影響が出ることは間違いありません。
会社目線で見ても、その社員が行うはずだった業務を他の社員が分担するので、全体の進行が遅れたり残業代を多く支払うことになります。
つまりコストが増えるという事です。
こうした、企業が抱える健康に関したコストの中で、上記の様な欠席によるコストをアブセンティーズムと呼びます。
プレゼンティーズム
今まで企業では、この「アブセンティーズムによる機会損失をいかに減らせるか」を重点に予防や対策が講じられてきました。
しかし近年の研究で、企業視点から見たコストにおいてアブセンティーズムよりプレゼンティーズムの方が影響が強いという事が分かってきました。
アメリカにおける先行研究によれば、健康に関連する企業の総コストのうち、医療費や薬剤費の直接費用は24%を占めるに過ぎず、労働生産性の損失(間接費用)は、4分の3を占めるといわれている。
労働生産性の損失(間接費用)の占める割合は30~60%くらいと幅はあるが、最大のコストはプレゼンティーズムだという研究が多数である
東京海上日動健康保険組合『「健康経営」の枠組みに基づいた保険者・事業主のコラボヘルスによる健康課題の可視化』より引用
プレゼンティーズムとは、出勤はしているが体調不良やメンタル不調、疾患などによって生産性が落ち、100%のパフォーマンスが発揮できていない状態を指します。
プレゼンティーズムと生産性の具体的な関係
プレゼンティーズムが生産性に与える影響について、健康日本21という団体が行った調査に非常に興味深いデータがあります。
「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の「趣旨」、「基本的な方向」、「目標」、「地域における運動の推進」などについて、その概要を解説するとともに各分野の数値目標を掲載。
その他「健康日本21の骨子」のビジュアルイメージや「健康日本21をめぐる誤解・疑問と回答」なども掲載。
http://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/index.html より
健康時と比べた不調時の生産性(自己採点)
TEN 特集『「疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響に関する調査」を読み解く』より引用
上図は、20~69歳の男女2,400名へのアンケート調査によって分かった結果です。
健康状態の生産性を100とした場合、全体平均で約60まで低下しています。
特に「メンタル面での不調」状態が56.5と、健全状態の約半分まで生産性が落ちています。
生産性に影響を与える主な因子
- メンタル面
- 心臓の不調
- 偏頭痛
- 月経不順
- 肩こり・腰痛
健康時と比べた不調時の生産性(客観)
続いて、客観的スケールにおいての調査データです。
TEN 特集『「疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響に関する調査」を読み解く』より引用
客観的スケールでの調査においても、自己採点とほぼ同様に生産性の低下が表れています。
プレゼンティーズムとヘルスリテラシーの関係
この様に、プレゼンティーズムが生産性に影響を与えることはほぼ確実です。
企業として、もちろん個人としてもこの「プレゼンティーズムをいかに減らせるか」が今後は重要なテーマになってきます。
では、プレゼンティーズムを少しでも減らす為にはどういった対策が必要なのでしょうか?
下図をご覧ください。
TEN 特集『「疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響に関する調査」を読み解く』より引用
こちらは、疾患を抱えている人とヘルスリテラシーの関係性を表したものです。
ヘルスリテラシーとは「健康問題を解決するために、健康情報やサービスを調べて活用する力」のことです。
「心臓の不調」を抱えている人の場合、ヘルスリテラシーの数値が高いのですが「月経不順」、「頭痛」、「腰痛」を訴える人においてはこの数値が低く出ています。
この様に、プレゼンティーズムとヘルスリテラシーの間には一定の相関がありそうです。
普段から健康に対しての関心を持つことが必要
上記の調査から、プレゼンティーズムに陥らないための対策として「普段から健康への関心を持ちヘルスリテラシーを高める」ことが重要と言えるかもしれません。
健康への関心を高めておくことで、プレゼンティーズムが起こる因子を減らせるでしょうし、起こってしまった場合の対応策も身に付くでしょう。
個人としては「健康診断のデータをしっかりと把握する」、「運動習慣を身に付ける」などを心がけ、
企業としては、従業員が健康意識を持つための仕掛け、例えば「健康セミナーを開催する」、「健康相談を利用しやすいものにする」などを行うことが必要でしょう。
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